はじめに:ケアマネ20年、今でも夜も眠れないほど悩む日がある
こんにちは、ケアマネジャーのまりーです。
仕事として20年、数えきれないほどの現場を見てきましたが、いまだに「正解」が見つからず、夜も眠れないほど悩む日があります。
今日は、ある利用者様「Aさん」との出来事を通じて、私が改めて気づかされた「介護において絶対に譲れない一線」についてお話しします。
1. 私の大好きな利用者、Aさんのこと
Aさんは、優しくて温厚で、いつも笑顔が素敵な方です。
ご家族は週6日お仕事に出られており、日中はAさん一人になるため、デイサービスを週6回利用されていました。
便秘のコントロール、入浴、そして皮膚疾患の処置……。デイサービスは、Aさんの生活を守るための大切な「命綱」でした。
何よりAさんは食べることが大好き!
特に麺類には目がなく、ご家族とラーメン屋さんに行くのを一番の楽しみにされていました。
2. 「米粒サイズのそば」に込められた、不誠実という悲しみ
事件が起きたのは、あるお昼時でした。
お蕎麦が出た際、スタッフが何を勘違いしたのか、Aさんの麺を「お米のようなサイズ」に刻んで提供したのです。
麺をすするのが大好きなAさんの前には、もう「麺」とは呼べないバラバラの何かが置かれていました。
優しく温厚なAさんは、間違いを指摘しながらも、その時は黙ってそれを食べました。
ところが翌週、今度は「うどん」がまた米粒サイズに。
さらにその翌日、大好物のお赤飯がAさんの分だけ「お粥」になっていたのです。
勇気を出して間違いを伝えたAさん。しかし、そこにスタッフからの誠実な「謝罪の言葉」はありませんでした。
3. 「たかが食事」が、人生の扉を閉ざしてしまう
「人間だからミスはある」そうかもしれません。
でも、ケアマネとして、そして一人の人間として、私はどうしても許せませんでした。
Aさんにとって、その一口は、外の世界(社会)と繋がるための最大の「楽しみ」だったからです。
事実確認の電話をしても、事業所からの歩み寄りは感じられません。
私は悩んだ末、Aさんの尊厳を守るために、他事業所への切り替えを提案しました。
ところが、ここで予期せぬ事態が起こります。
4. 絶望のキャンセル。「外に出るのが怖くなった」
新しいデイサービスを提案した私に、Aさんは静かに首を振りました。
「もう、どこへ行っても同じではないか。またあんな思いをするのは、もう嫌だ……」
度重なるミスと、何より「軽んじられた」という心の傷。
あんなに楽しみにデイへ通っていたAさんが、すべての外部サービスの利用をキャンセルしてしまったのです。
ケアマネとして、自分の無力さを痛感しました。
5. ケアマネが見つけた「第3の道」
社会参加が途絶えることは、心身の衰え(フレイル)を加速させます。
「外が怖いなら、無理に外に出なくていい。家を『安心できる場所』にしよう」
ご家族と何度も話し合い、私は訪問看護と訪問入浴を中心とした、新しいケアプランを提案しました。
清潔の保持も、皮膚のケアも、お通じの管理も、すべて「自宅」という安心できるテリトリーに、信頼できるプロが会いに行く。
これこそが、今のAさんに必要な「安心のカタチ」だと確信したのです。
お家がお風呂屋さんに?「訪問入浴」というプロの魔法
デイサービスに行けなくなったAさんにとって、一番の課題は「入浴」でした。
お家のお風呂ではご家族の負担が重く、皮膚のトラブルも心配……。
そこで登場するのが、訪問入浴のスペシャリストたちです。
訪問入浴って、すごいんですよ。
- 驚きのチーム連携: 看護師1名、介護職員2名の計3名体制で、専用の浴槽を抱えて家まで来てくれます。
- 徹底した健康管理: お風呂に入る前に看護師さんがバイタルチェック。皮膚疾患のあるAさんにとって、看護師さんの目が届くのは何よりの安心です。
- 「極楽」のひととき: 寝たままの姿勢で、肩までゆったりお湯に浸かる。プロの手による洗髪。Aさんのような「外が怖くなってしまった方」でも、住み慣れたお家なら心からリラックスして、表情がとろけるように和らぐんです。
「外に出なきゃお風呂に入れない」という思い込みを外すだけで、介護の選択肢はこんなに広がります。
6. ケアマネジャーの役割は「パズル」を埋めることじゃない
今回の件で、私は大切なことを学びました。 ケアマネの仕事は、サービスを枠に当てはめることではありません。 利用者様が傷ついたとき、その傷を一緒に見つめ、その人が「ここなら大丈夫」と思える新しい居場所を再構築することなのだと。
来週から、新しい訪問チームがAさんの自宅へ伺います。
一度閉ざされた心の扉。今度は、家で大好きなラーメンをゆっくり食べながら、少しずつ癒やしていければいい。その伴走をすることが、私の仕事です。
まとめ:納得できない介護は、我慢しなくていい
もし、今あなたが介護サービスに不信感を抱えているなら、どうか我慢しないでください。
納得できない環境で無理をすることは、誰の幸せにも繋がりません。
信頼できるケアマネジャーに、その正直な気持ちをぶつけてください。
私たちケアマネは、あなたが、そして大切なご家族が「えみふる」になれる道を探すためのパートナーなのですから。


まりー。『びじたー』が だめなら 『ほーむ』で ぜんりょく おうえんだ。 Aさんも まりーの えーるを きいて きっと らーめん おかわりするぞ。 あしたも えみふる!


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