認知症の母が深夜2時に「眠れない」|睡眠薬を“お守り”にしている我が家の夜

オハナさんとの日常

夜中の2時。

ふと目が覚めると、枕元にオハナさんが立っています。

「ねぇ、全然眠れないの。眠れるお薬ある?」

介護の現場では「大変、なんとかしてあげなきゃ。夜は寝るもの」と思われがちな場面です。

でも私は、ニコニコしながらこう答えます。

「眠れなかったら、朝まで起きていればいいじゃ~ん」

そう言うと、オハナさんも「そう?」という顔をして、自分の部屋へ戻っていきます。

冷たい娘に見えるかもしれません。でも、これには理由があります。

我が家では、母の睡眠や薬について主治医と相談しながら考えています。この記事は、睡眠薬や認知症の薬を自己判断で中止・調整することを勧めるものではありません。

2時の時点で、もう7時間眠っている

オハナさんが寝るのは、毎日19時です。

ということは、深夜2時の段階で、すでに7時間ほど眠っている計算になります。

「そりゃ目が覚めるよね」というのが、正直なところです。

起きてきても、不穏になっているわけではありません。穏やかに話ができます。

だから我が家では、「夜中に起きた=すぐ眠らせなければ」とは考えていません。

もちろん、誰にでも「眠れなくてもいい」と言えばいい、という話ではありません。オハナさんの生活のリズムと、起きたときの様子があってのことです。

起きたあとは、だいたい自由に過ごしている

ちなみに、そのあとオハナさんが何をしているかというと。

ポータブルトイレに座ってみたり。
ベッドに戻ってみたり。
なぜかリビングまで行って、また戻ってきたり。
そして、なぜか着替えていたり。

朝になって「なんで着替えてるの」と聞くと、言い訳もしません。笑顔で「なんでだろう?」と言います。

そう言われると、こっちもふっと笑ってしまいます。洗濯物が増えるのは、正直ちょっと大変ですが。

危ないことをしているわけではないので、私は基本的に、また寝ます。

睡眠薬は「お守り」として持っています

誤解のないように書いておくと、眠れないときのお薬は、主治医から出してもらっています。

ただし「必ず飲むもの」としてではなく、お守りとして持っている、という形です。

先生からは、薬の影響で翌朝にふらつき、転倒につながる可能性もあると説明を受けています。だから、本当に必要なときのために置いてある。

そして、私が診察で睡眠の話をすると、先生はこう言います。

「眠れないなら、寝なくていいんじゃない?」

昼夜が完全に逆転してしまうのは困る。でも、眠いときには寝るのだから。それが先生の考え方です。

つまり、私が自己判断で薬を中止しているわけではありません。主治医と相談したうえで、必要なときに使えるように手元に置いています。

正直に書くと、翌朝は眠そうです

いいことばかりではありません。

夜中に起きた翌朝、オハナさんの目覚めはよくないです。眠気もあるし、日中うとうとしていることもあります。

「今日はデイサービス行きたくない」と言い出す朝もあります。

ただ、結局そのあと、笑顔で出かけていきます。

薬を使わなければ、すっきり目覚めるわけではないんです。どちらにしても、眠い日はあります。それでも、穏やかに一日を過ごせているなら、いまはこれでいいと思っています。

「今の笑顔」を、どこまで大事にするか

薬のことで、私が一度きちんと考えたことがあります。

数年前、認知症のお薬を飲み始めたとき、オハナさんは胃腸の調子をひどく崩しました。

先生は「慣れれば大丈夫」と言ってくださいましたが、大好きな豆大福も食べられなくなったオハナさんを見て、私は自問しました。

進行を遅らせるために、今の笑顔を犠牲にしていいのかな。

オハナさんに聞いてみると、「薬はあまり飲みたくない。少ないほうがいい」と、はっきり答えてくれました。

そこから、主治医と相談しながら、なるべく薬は増やさないという形になりました。

正解かどうかは、正直いまも分かりません。「あのとき続けていたら」と考えることが、ないわけではありません。

「眠れません」だけでは、伝わりきらない

ケアマネジャーとして、ひとつだけお伝えしたいことがあります。

薬のことは、必ず主治医とやりとりしてください。

薬を実際にどのくらい使っているかも、主治医に伝えておくことが大切です。

処方されていても実際には使っていない薬があれば、そのことも含めて伝える。そうすることで、主治医が今の状態を考えるための材料になります。

そして、伝えるときの中身です。

「眠れません」だけだと、そこから分かることは多くありません。

そうではなく、

19時ごろに寝ています。
深夜2時ごろに目を覚まして「眠れない」と言うことがあります。
その時点で7時間ほどは眠っています。
起きたときの様子は穏やかです。
翌朝は眠そうです。日中にうとうとしていることもあります。
それでもデイサービスに行けば、笑顔で過ごせています。

同じ「眠れない」でも、生活の様子まで伝えたほうが、主治医にも状況を具体的に知ってもらえます。

夜のことだけを切り取らず、一日の暮らし全体を渡す。それが家族にできることだと思っています。

正解は、たぶん笑顔の中にある

深夜2時に起きてきて、ポータブルトイレに座って、リビングに行って、なぜか着替えている母。

朝は眠そうで、デイサービスに行きたくないと言って、それでも笑顔で出かけていく母。

介護に絶対の正解はありません。

それでも、その人がその人らしく「えみふる」でいられること。いまの私は、それを一番の手がかりにしています。

皆さんもどうか、自分を責めずに。目の前の笑顔を大切にしてくださいね。

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