この記事の内容
- ▶ 仕事から帰ったら、玄関で倒れていた
- ▶ 正直に言います。オハナさんには話していません
- ▶ カメラに助けられた夜のこと
- ▶ 認知症介護で見守りカメラを2年使って感じたメリット
- ▶ 認知症介護に見守りカメラは必要?
- ▶ 見守りカメラは「監視」じゃなく「安心」だった
- ▶ 完璧な介護なんて、ない
「今ごろ、転んでないかな」
仕事中、ふとスマホに手が伸びる。
お昼ご飯はちゃんと食べただろうか。
今日は暑いのに、またエアコンを切ってしまっていないだろうか。
真夏なのに厚手のカーディガンを着ていないだろうか。
買い物の途中、急に胸がざわつく。
夜中に目が覚めて、隣の部屋が気になる。
認知症の母・オハナさん(89歳)と暮らしていると、この小さな心配は一日中どこかにあります。
私はケアマネジャーとして20年働いてきました。
利用者さんのご家族に「転倒リスク」の説明をしてきた側の人間です。
でも、それが自分の母のことになった途端、
冷静でなんかいられない。
今日は、私がもう2年間使い続けている見守りカメラのことを書きます。
便利ですよ、おすすめですよ、という話ではなく——
迷いながら選んだ、ひとりの娘の話です。
仕事から帰ったら、玄関で倒れていた
あの日のことは、今でもはっきり覚えています。
仕事を終えて帰宅し、玄関のドアを開けたら
オハナさんが、玄関で倒れていました。
「お母さん!」
声をかけたら意識はありました。
でも自分では起き上がれなかった。
いつから倒れていたのか、わからなかった。
1時間前かもしれない。
3時間前かもしれない。
もしかしたら、朝からずっとそうだったのかもしれない。
幸い大きなケガはありませんでした。
でも、あの日から私の中で何かが変わりました。
「見えない時間」が怖い。
同居していても、仕事に行けば何時間も離れる。
買い物だって1時間はかかる。
その間にオハナさんが転んでいたら
誰が気づいてあげられるんだろう。
そう思って、すぐに見守りカメラを探し始めました。
正直に言います。オハナさんには話していません
ここから先は、包み隠さず書きます。
私はオハナさんに、カメラを置いていることを話していません。
ケアマネジャーとしての私は知っています。
本来であれば、ご本人への説明と同意が望ましいということを。
もし担当している利用者さんのご家族から「内緒でカメラをつけたい」と相談されたら、私はきっとこう言うと思います。
「できればご本人にも伝えた方がいいですよ」と。
でも、娘としての私は言えなかった。
オハナさんはきっと嫌がる。
「監視されている」と感じたら怒るかもしれない。
今のおだやかな毎日が崩れるかもしれない。
本人のためだと思っている。
でもそれは、本人が望んだことじゃない。
この矛盾を、2年間ずっと抱えたまま使い続けています。
正解なんてわからない。
わからないまま、それでも「今、母を守れる方法」を選んだ。
それが私の答えでした。
もしこれを読んで「同じように悩んでいる」という方がいたら
あなただけじゃないです。
私も正解を出せないまま、今日も介護をしています。
カメラに助けられた夜のこと
迷いながら設置したカメラですが、実際に何度も助けられています。
■ 夜中——ポータブルトイレの横で
ある夜、ふと目が覚めてスマホでカメラを確認しました。
オハナさんが、ポータブルトイレのすぐ横で倒れていました。
すぐに寝室へ駆けつけて、起こすことができた。
あのまま気づかなかったら、朝まで冷たい床の上にいたかもしれません。
■ 昼間——リビングで
仕事中にふとカメラを見たら、リビングで倒れている。
すぐに自宅に戻って起こしに行きました。
高齢者の転倒は「倒れた瞬間」だけが危険なんじゃない。
倒れたまま動けない時間が長くなることそれが本当に怖いんです。
骨折、脱水、低体温。
最悪の場合、そのまま動けなくなることもある。
カメラは転倒を防いでくれるわけじゃない。
治療もしてくれない。
でも、「気づける」。
たったそれだけのことが、結果をまったく変えてくれました。
認知症介護で見守りカメラを2年使って感じたメリット
私が使っているのは、塚本無線の見守りカメラ(WTW-IPW108JC3)です。
リビングと寝室の2か所に設置しています。
2年間使ってみて、「これがあってよかった」と感じているポイントを書きます。
■ 部屋の温度がわかる
これが地味に大きいんです。
認知症あるある 夏場にエアコンを切ってしまう。
オハナさんもやります。
カメラで室温を確認できるので、「30度超えてる!」とわかればすぐに連絡したり帰宅したりできます。
熱中症対策として、温度表示は本当に助かっています。
■ 赤外線で真っ暗でも見える
夜中の見守りでは、これが一番ありがたい機能です。
部屋が真っ暗でも、人の顔までしっかり認識できます。
「転倒しているのか、ただ横になっているのか」が暗闇でもちゃんと判別できる。
夜間の転倒発見は、この機能がなければできませんでした。
■ 画質がいい
安いカメラにありがちな、ぼやっとした映像ではありません。
表情まで見える画質なので、「苦しそうにしていないか」「穏やかに過ごしているか」が画面越しに伝わります。
見守りカメラは「映ればいい」じゃなくて、状況が判断できるかどうかが大事だと実感しています。
■ 会話もできる
スマホから声をかけられる双方向通話の機能もついています。
私はオハナさんにカメラのことを伝えていないので使っていませんが、ご本人に説明している場合なら「ごはんできたよ〜」なんて声かけにも使える機能です。
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認知症介護に見守りカメラは必要?
必要か不要かで言えば、家庭によって違うと思います。
実際、私も最初は抵抗がありました。
ただ、仕事や買い物で離れる時間があるなら、「異変に気づける仕組み」は大切です。
特に転倒リスクが高くなってきた方や、一人で過ごす時間が長い方の場合は、見守りカメラが介護者の安心につながることがあります。
大切なのは「監視する」ためではなく、「もしものときに気づける」ために使うという意識だと思っています。
もちろん、見守りカメラがあれば転倒がなくなるわけではありません。
それでも私は、
「もし何かあったときに気づける」
その安心感だけで十分価値があったと思っています。
同じように不安を抱えながら介護をしている方の参考になれば幸いです。
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見守りカメラは「監視」じゃなく「安心」だった
「見守りカメラ」と聞いて、抵抗を感じる方もいると思います。
「それって監視じゃないの?」と。
私も最初はそうでした。
でも2年使って気づいたのは、これは親を「監視するもの」ではなく、介護している自分自身を支えてくれるものだったということ。
仕事中に不安でいっぱいになるより、カメラをちらっと見て「今日もテレビ見てるな」と確認できるだけで、心がすっとラクになる。
不安をゼロにはできません。
それは2年使ってもわかっています。
でも、不安を「少しだけ軽くしてくれる」。
在宅介護を続けていくために、私にはそれが必要でした。
ちなみに、玄関で転倒していたのを帰宅後に発見したあの経験から、次は玄関にもカメラを増やしたいと思っています。
カメラがなかった場所で起きたことが、カメラの必要性を一番教えてくれました。
完璧な介護なんて、ない
本人にカメラのことを伝えていないこと。
ケアマネなのに「正解」を選べていないこと。
迷いながら、それでも使い続けていること。
全部ひっくるめて、これが私の在宅介護です。
完璧な正解なんて、たぶんどこにもない。
誰かに「それは間違っている」と言われたら、言い返せないかもしれない。
でも、迷いながらも「今できること」を選び続けること。
それだけが、私にできる介護だと思っています。
同じように迷っている方へ。
正解じゃなくていい。
あなたが「これなら続けられる」と思える方法を、ひとつずつ見つけていけたらいいなと思います。
——今日も仕事の合間に、スマホでカメラを開きました。
リビングで、テレビを見ているオハナさんが映っています。
テーブルの上のお昼ご飯はちゃんと減っている。
なぜか今日は少し厚着だけれど、元気そうにテレビを見ている。
「今日も、無事だった」
その一言で、少しだけ肩の力が抜ける。
介護をしていると、不安はなくならない。
でも、不安と上手につきあう方法は見つけられる。
見守りカメラは、オハナさんを見張るためのものではなく、私が介護を続けていくための安心材料になっています。
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