膀胱がん疑いで紹介先受診。手術が決まった日と止まらない検索地獄【体験談】

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紹介状を受け取り、自分で予約の電話を入れた。1週間後、ようやく予約が取れた。

待っている間、県立病院のホームページを開いた。どんな治療をしているのか。どんな先生がいるのか。

そしてまた、検索した。

5年生存率。

再発率。

ステージ別の治療法。。。。

あぁ……5年後、私は生きているんだろうか。

ふと思い出した。去年、がん保険を解約したこと。「自分は大丈夫」と思っていたから。

最悪のタイミングだ。

娘の花嫁姿、見られるかな。

仕事はどうしよう。担当している利用者さんたちは。引き継ぎは誰に頼もう。

オハナさん(母)は……泣いちゃうだろうな。

そしてもうひとつ、頭をよぎったこと。

オハナさん、早めに施設に入れたほうがいいのかな。

介護のプロとして20年以上やってきた私が、自分の母親の施設入居を、こんな形で考えることになるとは思っていなかった。


予約当日、外来へ向かった。

待合室に入った瞬間、少し面食らった。

お年寄りばかり。しかも男性ばかり。

そうだ。膀胱がんといえば、高齢・男性・喫煙者。私はどれにも当てはまらない。ひとりだけ場違いな気がして、ものすごく居心地が悪かった。

1時間待って、ようやく診察室に呼ばれた。

入った瞬間、固まった。

めちゃくちゃ若い先生だった。後で調べたら29歳。韓国俳優みたいな顔をしていた。

一気に緊張が増した。

……え、なんで泌尿器科選んだの?その顔なら内科か小児科でしょ。

がんかもしれないという不安を抱えて来たはずなのに、頭の中でそんなことを考えていた。

人間、緊張するとおかしなことを考えるものだ。


先生は紹介状をさらっと見て、説明を始めた。

経尿道的膀胱腫瘍切除術をおこないます。内視鏡で腫瘍を切除する手術です。

そのほかイラストを見ながら説明はテンポよく進んだ。

手術日決めましょう

え、もう?

ちょっと待って。
あなた、私の何を知っているの?
診察もしないの?ここ、見ないの?

心の中でツッコミを入れている間に、話はどんどん進んでいった。

あれよあれよという間に、2か月先の手術日が決まった。手術前の検査は1週間後。

診察室を出たとき、何が起きたのかよくわからなかった。
気づいたら手術が決まっていた。


帰る前に、私は自分の疑いの腫瘍の画像を見ながら何度も聞いた。

「これ、悪いものですか?」

韓国俳優張りの笑顔で先生が返す。

「それを調べるための治療と検査ですよ」

「悪いものなら、初期ですか?」

「それを調べるための手術ですよ」

……かわされた。

「2か月も待って、進行したらどうしよう」

さすがに先生の表情が少し変わった。

「んー……今、出血して困ってたり、痛すぎて困ってるわけじゃないですよね?」

あ。そういうことか。

緊急性がないから2か月後でいい、ということを、この先生なりに伝えようとしていたのだ。

29歳、韓国俳優ドクターに論破された52歳。


最後にもう一度だけ聞いた。

「私、タバコも吸わないし、お酒も飲まないし、この時期だし、女性だし……」

先生はにこりと笑って言った。

「女性もなりますよ。その年齢でも」

……29歳でしょ。

経験、浅いんじゃないの。

ベテランの先生に変えてもらいたい。本気でそう思いながら、病院を後にした。


それから、メンタルがずたぼろだった。

こうしている間にも、大きくなっているんじゃないか。

本当はもう、深いところまで達しているんじゃないか。

……待って。

95パーセントがガンということは、5パーセントは良性かもしれない。私はその5パーセントかもしれない。

一瞬、前向きになれた。

でもその時間は、数分しか持たなかった。

また検索する。また怖くなる。また少し前向きになる。また怖くなる。
その繰り返しだった。


そしてもうひとつ、頭を悩ませていたことがあった。

オハナさんに、何て話そう。

私が入院する間、ショートステイに行ってもらわないといけない。でもどう説明する?

娘がガンかもしれない、なんて知ったらショックだろうな。

認知症のオハナさんに、どこまで伝えればいいんだろう。

それからまた、あの後悔が頭をよぎる。

どうしてがん保険を解約しちゃったんだろう。
「自分は大丈夫」と思っていたあの日の私を、今すぐ問い詰めたい。

ぐるぐると、止まらない夜が続いた。


それからまた、あの後悔が頭をよぎる。

どうしてがん保険を解約しちゃったんだろう。

「自分は大丈夫」

そう思っていたあの日の私を、今すぐ問い詰めたい。

介護の仕事をしていると、たくさんのご家族を見てきました。

でも、自分のことになると不思議なくらい思うんです。

「私はまだ大丈夫」

って。

元気なうちにしか選べないものって、本当にあるんだなと、今は痛感しています。

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手術まで、まだ2か月。

結果が出るまで、さらに2週間。

その間も仕事をして、オハナさんの介護をして、ご飯を作って、眠る。

普通の生活を、普通にこなす。

それだけのことが、こんなに遠く感じたことはなかった。

次回は手術前検査の日のことを書きます。

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