「年寄りが行くところでしょ?」デイサービスを嫌がる母に私が伝えたこと

介護の豆知識

もしかして、「デイサービスへ行こうよ」と言うたびに親が不機嫌になっていませんか?

怒る。黙り込む。話を変える。

本人は全くその気がない。そんな状況に疲れて、このページへたどり着いた方もいるかもしれません。

📌 この記事でわかること

  • デイサービスを嫌がる人の気持ち
  • 親を説得しなくても利用につながる「誘う作戦4つ」
  • 本人に合うデイサービスの選び方と、体験の工夫
  • デイサービスが合わない人もいる、という視点

ケアマネを20年やっています。利用者さんのご家族から、「デイサービスを嫌がるんです」という相談をたくさん受けてきました。

そんな私ですが、自分の母が相手になると話は別でした。

「年寄りが行くところでしょ?」
「幼稚園みたいで嫌」
「まだそんな歳じゃない」
「家にいる」

何を言っても動かない。ケアマネの知識なんて、実の親の前ではあっさり無力です。

今日は、そんな母・オハナさんとデイサービスをめぐる話を書きます。

デイサービスを嫌がる悩みは、時期によって違います

  • まだ契約前で、そもそも行こうとしない → この記事で書いています
  • 通い始めたけれど、朝になると「行かない」と言う → 近日公開
  • デイサービスがどうしても合わない → 近日公開

デイサービスを嫌がる人は、本当に多い

ケアマネとしてたくさんの方を見てきましたが、デイサービスと聞いただけで拒否する人は本当に多いです。

オハナさん
オハナさん

「幼稚園みたいで恥ずかしい」

オハナさん
オハナさん

「年寄りが行くところ」

オハナさん
オハナさん

「知らない人と話すのは嫌」

オハナさん
オハナさん

「まだそんなお世話にならなくていい」

これ、わがままじゃないんです。むしろ、ごく自然な反応だと思っています。

嫌がる気持ちの裏にあるもの

拒否の裏側には、こういう気持ちが隠れていることがよくあります。

  • 🔸 老いを認めたくない
  • 🔸 人の世話になりたくない
  • 🔸 行ったことがない場所が不安
  • 🔸 今まで通りの自分でいたい
  • 🔸 そもそも出かけるのが面倒くさい
  • 🔸 人と関わること自体が好きではない

デイサービスそのものより、「自分が年を取った」と突きつけられることが嫌、という人は少なくありません。

一方で、もっとシンプルな理由のこともあります。着替えて、車に乗って、知らない人と一日過ごす。それ自体が面倒くさい。もともと人付き合いが好きではない。そういう人にとっては、どんなに良いデイサービスでも「行きたくない」のは自然なことです。

自分が年を取ったら、好んで行きたいか?

ここで一度、考えてみてください。自分が年を取ったとき、デイサービスに好んで行きたいかどうか。

正直に言うと、私は塗り絵や間違い探しばかりのデイサービスだったら「嫌だ」と言って、娘を困らせると思います(笑)。

同僚に聞いてみたら、ひとりは「釣りが好きだから、釣り堀に連れて行ってくれるなら行くかも」。もうひとりは「Switchを持って行っていいなら行くかもしれない」。

行く側の気持ちになると、どうして嫌なのかが見えてきます。親が「行かない」と言うのも、同じことなのかもしれません。

これを知らないまま「行きなさい」「みんな行ってるよ」「あなたのためでしょ」と言っても、うまくいきません。それどころか関係が悪くなる。私も何度もやらかしました。

「行かないと歩けなくなっちゃうよ」。デイサービスを勧めるときによく使われる一言ですが、これも意外と効きません。先のことを言われても、本人にとっては「今日出かけるのが面倒」のほうがずっと大きい。それに、「歩けなくなる」と言われるのは、まさに老いを突きつけられることでもあります。

「オハナさんも十分年寄りだよ」と言ってしまった話

母・オハナさんが

オハナさん
オハナさん

年寄りが行くところでしょ?

と言ったとき、私は間髪入れずに答えてしまいました。

まりー
まりー

オハナさんも十分年寄りだよ

……もちろん、逆効果でした(笑)。その後30分ほど、「私はまだ年寄りじゃない」という熱い演説を聞くことになります。

実の親相手だと、つい正論を言いたくなってしまう。ケアマネとしては分かっていたはずなのに、親子になると別問題です(笑)。

そこで私は作戦を変えました。

デイサービスに誘う作戦

作戦1:知っている人、仲のいい人が通っているところを選ぶ

デイサービスを嫌がる人の中には、行ったことがないから不安、という人がとても多いです。どんな場所なのか、どんな人がいるのか分からない。だから「行かない」になる。

そういう方は、知っている人や仲のいい人が通っているデイサービスなら、行くことがあります。 これ、非常に多いです。

知らない場所でも、知っている顔がひとりいるだけで、ぐっとハードルが下がります。

近所の友だち、昔の仕事仲間、同じ集まりに出ていた人。親の付き合いの中で、デイサービスに通っている人がいないか思い出してみてください。

ただ、知り合いなら誰でもいいわけではありません。昔なじみだからこそ、今の自分を見られたくない、という人もいます。本人が「会いたい」と思える相手かどうかも、大切にしてください。

デイサービスの事業所からは、ほかの利用者さんが通っているかどうかは教えてもらえないことが多いです。知り合いが通っているか知りたいときは、その方やご家族に直接聞いてみてください。

作戦2:困っていることを解決できる場所として伝える(お風呂作戦)

オハナさんに効いたのは、この作戦でした。

オハナさんは年齢とともに活動量が落ちて、お風呂をまたぐのが難しくなっていました。手が届かなくなって髪も洗えない。頭皮が気になり始めて、本人も困っていました。

私も仕事をしながらお風呂の介助をするのが、だんだん大変になってきていました。

そこで「デイサービスに行って」とは言いませんでした。代わりにこう伝えました。

「髪をちゃんと洗える場所があるよ。お風呂もゆっくり入れるって」

「デイサービスへ行け」ではなく、「あなたが困っていることを解決できる場所がある」。この伝え方が、オハナさんには届きました。

作戦3:本人の好きなことができるデイを探す

釣り堀なら行くかも、Switchを持って行けるなら行くかも。同僚の言葉のとおり、人は「好きなことができる場所」なら行ってみようと思えます。私は野球観戦を誰かと一緒に話しながら出来るところなら行きたいです(笑)

外出が好きな人には外出レクが多いところ、体を動かすのが好きな人には運動が中心のところ、手芸や料理が好きな人にはそれができるところ。「デイに行く」ではなく「好きなことをしに行く」に変えられると、本人の受け止め方が変わります。

本人の好きなことは、ケアマネにぜひ伝えてください。それに合うデイを一緒に探せます。

私は今、男性利用者様のご要望である麻雀ができるデイサービスを探しています。

作戦4:「ジムに行く感覚」の機能訓練型デイを見学する

デイサービスの中には、機能訓練型と呼ばれる、運動するマシンが置いてあるところがあります。

私の経験では、一般的なデイサービスには抵抗があっても、ここなら行くという男性が多いです。歌やレクリエーションではなく、マシンで体を鍛える。「デイサービスに行く」ではなく「スポーツジムに行く」感覚で通えます。

見学しただけで「ここなら行ってみようかな」という気持ちになる方も多いです。男性だけでなく、女性にもたくさんいます。

そこにお風呂のサービスまであったら、最高だと思います。運動して、汗を流して、さっぱりして帰ってくる。家でお風呂に入るのが大変になってきた人には、うれしい組み合わせです。

機能訓練型のデイサービスには、半日だけの利用で、お風呂がないところもあります。お風呂も目的にしたいときは、見学のときに入浴サービスがあるかを確認してください。

「デイサービスはちょっと…」という親には、まず機能訓練型の見学に誘ってみてください。

デイサービス選びで、結果が全然違う

「行ってみようかな」という気持ちになっても、どこでもいいわけじゃありません。デイサービスは事業所によって雰囲気も内容もまったく違います。

オハナさんのために私が選んだポイントは、この4つ+1です。

📋 デイサービス選びのポイント

1. 小規模のデイサービス
大人数が苦手な人には、家庭的な雰囲気の小規模デイが合いやすいです。

2. 個浴があること
オハナさんは一番風呂に入りたい人(笑)。大勢で入る一般浴ではなく、一人でゆっくり入れる個浴があるところを探しました。

3. 外出レクリエーションが多いこと
カフェに行ったり、バラを見に行ったり、時には車で40分かけて遠出してくれるデイを選びました。家族ではなかなか連れて行けない場所に連れて行ってくれる。これはデイならではの魅力です。

4. ボーっとしている時間が少ないこと
座って何もしない時間が多いデイサービスも、正直あります。オハナさんには、活動的で個別に対応してくれるところが合っていました。

+ 相談員さんの雰囲気
見学に行ったとき、相談員さんが明るくて優しくて話しやすかったら、それだけで「行ってみようかな」という気持ちになりやすいです。

デイサービスは設備だけでなく「人」で選ぶことも大切です。

体験する日も、作戦を立てる

体験利用は「どこに行くか」と同じくらい、「どう体験するか」が大切です。

「じゃあ一度体験してみましょう」となったとき、私は曜日と時間と席まで考えます。これ、一般の家族はなかなか知らない話だと思います。

✅ 私が体験を調整するときに意識していること

① 本人がなじめそうな曜日を選ぶ
デイサービスは曜日によって、来ている利用者さんの顔ぶれも雰囲気も変わります。同じくらいの年代の方がいるか、どんな活動をしている曜日かを、相談員さんに聞いてから選びます。

② 本人の好みに合った時間帯を選ぶ
にぎやかなのが好きな人には、午前中など活動が盛り上がっている時間。静かに過ごしたい人には、落ち着いている時間。どんな時間帯がどんな雰囲気か、相談員さんに聞いて合わせます。

③ 本人と気が合いそうな人の近くに
最初の印象は大事です。おしゃべりが好きな人なら話しやすそうな方の近くに、静かに過ごしたい人なら落ち着ける席に。相談員さんに前もってお願いしておきます。

体験の前に、ケアマネさんや相談員さんに「この3つをお願いできますか」と伝えてみてください。

見学や体験は、ケアマネに一緒に来てもらう

もうひとつ、ケアマネさんの時間が合えば「一緒に行ってもらえますか」とお願いするのもおすすめです。

私は担当の方の見学や体験には、できるだけ一緒に行くようにしています。その場で「ここのお風呂、ゆっくり入れますよ」「ここはマシンがあるんですよ」と、その方に合いそうなおすすめポイントを説明する。

それから、ご本人やご家族が聞きにくいことを、代わりに聞いて差し上げています。お風呂は一人ずつ入れるのか、途中で帰りたくなったらどうなるのか、送迎は何時ごろか。家族だと遠慮して聞けないことも、ケアマネなら聞きやすいものです。

顔なじみのケアマネが一緒にいることで、本人も家族も安心して見学できることがあります。遠慮せずに頼んでみてください。

でも、デイサービスが全員に合うわけじゃない

ここが大事なところです。

人と話すのが好きな人には、デイサービスが楽しみになることもあります。オハナさんも、通い始めた頃は外出レクリエーションを楽しんでいました。

でも、ずっと一人で生きてきた人もいます。人との関わりをあまり持たずに暮らしてきた人が、年を取ったからといって、急に知らない人たちの輪に入って一緒に体操する。それは本人にとって、かなり酷なことだと思うんです。

無理に行かせることだけが正解じゃありません。お風呂や食事など、デイサービスで解決したかったことを別の方法で解決する道もあります。少人数で家庭的な場所なら過ごせる、という人もいます。

その話は、別の記事で詳しく書きます(近日公開)。

おわりに|介護は親を変えることじゃない

介護は、親を説得するゲームじゃありません。

「行きなさい」「みんな行ってるよ」「あなたのためでしょ」。どれだけ正論を言っても、心が動かなければ意味がない。

介護は「親を変えること」ではなく、「暮らしを整えること」だと私は思っています。

こうしてオハナさんは、デイサービスに通い始めました。一番風呂に入ったり、外出レクリエーションを楽しんだり。最初はあんなに嫌がっていたのに(笑)。

でも、通い始めたらすべて解決、というわけでもありません。朝に「今日はデイサービスだよ」と伝えると、決まって「今日は行かないよ、寝ていたい」と返ってくるようになりました。その話は、次の記事で書きます(近日公開)。

もしデイサービスの拒否で悩んでいるなら、伝えたいのはこれだけです。

説得しなくていい。
その人が「行ってみようかな」と思える理由を、一緒に探せばいい。

💬 あなたはどうでしたか?

あなたの親御さんは、デイサービスを勧めたときにどんな反応でしたか? よかったらコメントで教えてください。「うちも同じだったよ」という方が、きっとたくさんいると思います。

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