担当しているご利用者様から、こんな相談を受けることがあります。
「まだ必要ないと思うんですけど、そろそろ施設のことも考えておきたくて……」
とても前向きで素晴らしい相談です。私はケアマネとして、いつもこうお伝えしています。
「今のうちに情報を集めておくのは、すごく大事なことですよ」と。
でも正直に言うと、施設って種類が多すぎるんです。
待機期間もバラバラ、費用もバラバラ、サービスの内容にも違いがある。
ケアマネ歴20年の私でも、毎回「この方にはどこが合うかな」と迷います。
そして、これだけは知っておいてほしいのですが
一度入居してしまうと、他の施設にお引越しするのはとても大変です。
ご本人の体力的な負担はもちろん、環境がガラッと変わることで混乱してしまう方も少なくありません。ご家族も、また一から施設を探して、契約して、荷物をまとめて……。想像以上にエネルギーが必要です。
「こんなはずじゃなかった」というケースを、私はケアマネとして何度も見てきました。
だからこそ、まず施設の全体像を知って、気になるところは必ず見学してほしい。
この記事では、介護施設の種類をわかりやすく一覧で整理していきます。
介護施設は大きく分けて「公的施設」と「民間施設」の2種類
介護施設と一口に言っても、種類はたくさんあります。でも、まず覚えてほしいのはこの2つの分類です。
公的施設=国や自治体が関与している施設。費用が比較的安い。その分、人気が高く待機期間が長いことも。
民間施設=民間企業が運営する施設。費用は高めだけど、選択肢が多く、サービスの幅が広い。
どちらが良い・悪いではなく、ご本人の状態、ご家族の状況、そして経済的な条件によって「合う施設」が変わるというのが、20年やってきた私の実感です。
では、それぞれの施設を見ていきましょう。
【まずはこの図だけ見てください】
介護施設選びで迷ったら、まずは「親の状態」に合わせて考えるのが近道です。
詳しくは下の図をご覧ください。

※実際には介護度や医療状況、ご家族の希望によって選択肢は変わります。あくまで目安としてご覧ください。
公的施設の種類
① 特別養護老人ホーム(特養)
介護施設と聞いて、多くの方が最初に思い浮かべるのが特養ではないでしょうか。
要介護3以上の方が対象で、費用が比較的安いため人気が高く、地域によっては数ヶ月〜数年待ちということも珍しくありません。
終身利用が基本なので、「最後まで暮らせる場所」として選ぶご家族が多いです。ただし、医療的なケアが必要になった場合は対応が難しいケースもあります。
💡 ケアマネのひとこと:
「まだ元気だけど申し込みだけしておきたい」というご相談は本当に多いです。特養は待機が長いので、早めに申し込んでおくのは正しい判断。ただし、要介護3以上でないと原則申し込めない点は注意してください。
👉 こんな人向け:費用を抑えて、長く安心して暮らせる場所を探している方
② 介護老人保健施設(老健)
老健は、病院を退院したあと自宅に戻るまでの「リハビリ+一時的な入所」が目的の施設です。
理学療法士や作業療法士がいて、リハビリに力を入れているのが特徴。ただし、あくまで「在宅復帰」が目標なので、3〜6ヶ月程度で退所を求められることが多いです。
「ずっと暮らす場所」ではなく、「自宅に戻るための準備をする場所」と考えてください。
👉 こんな人向け:退院後にリハビリを受けながら、自宅復帰を目指したい方
③ 介護医療院
医療的なケアが必要な方のための施設です。以前の「介護療養型医療施設」から移行して生まれました。
日常的に医療行為が必要な方(たとえば、たんの吸引や経管栄養など)が長期的に暮らせる場所です。医師や看護師が常駐しているので、医療面での安心感があります。
👉 こんな人向け:たんの吸引や経管栄養など、日常的に医療ケアが必要な方
④ ケアハウス(軽費老人ホーム)
比較的元気だけど、一人暮らしに不安がある方向けの施設です。食事の提供や生活支援を受けながら暮らせます。
費用が安めで、自立〜軽度の要介護の方が対象。ただし、介護度が重くなると退去が必要になることもあります。
👉 こんな人向け:比較的元気だけど、一人暮らしに不安がある方
🩷 ケアマネ20年で感じていること
私が新人だった頃は、「特養に入れば安心」という時代でした。
選択肢も少なかったし、家族も本人も「特養に入れたらゴール」と思っていた。
でも今は、本当に選択肢が増えました。
サ高住、住宅型有料、グループホーム……名前を聞いただけでは違いがわからない施設ばかりです。
だからこそ、「とりあえず空いている施設」ではなく、その人に合った施設を選ぶことが大切だと感じています。
選択肢が増えたことは、いいことです。
でもそれは、「ちゃんと選ばないと失敗する時代になった」ということでもあるんです。
民間施設の種類
⑤ 介護付き有料老人ホーム
施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供してくれる施設です。食事・入浴・排泄の介助が施設内で完結します。
費用は高めですが、その分手厚いケアが受けられるのが魅力。入居時に一時金が必要なところも多いですが、最近は一時金0円のプランを用意している施設も増えています。
💡 ケアマネのひとこと:
ご家族から「特養と有料老人ホーム、何が違うの?」と聞かれることがとても多いです。ざっくり言うと、特養は「費用が安いけど待つ」、有料は「費用は高いけどすぐ入れる」。この2つの違いについては、次の記事で詳しく解説しますね。
👉 こんな人向け:費用よりも手厚い介護を重視したい方、すぐに入居先を見つけたい方
⑥ 住宅型有料老人ホーム
こちらは介護付き有料老人ホームとは異なり、施設自体が介護サービスを提供するわけではありません。介護が必要になった場合は、外部の訪問介護やデイサービスなどを利用しながら生活します。
イメージとしては「見守りと食事がついた高齢者向けマンション」に近いです。比較的元気な方や、介護度が軽い方に向いています。
ただし、介護度が重くなると外部サービスだけでは対応しきれず、住み替えを検討するケースもあります。
👉 こんな人向け:まだ比較的元気で、自分のペースで暮らしたい方
⑦ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれるこの施設は、安否確認と生活相談のサービスがついた賃貸住宅です。
住宅型有料老人ホームと似ていますが、サ高住は「賃貸借契約」なので、退去の自由度が高いのが特徴。「施設に入る」というより「見守りのあるマンションに引っ越す」という感覚に近いです。
ただし、サ高住は施設によって質にかなり差があります。見学は必須です。
👉 こんな人向け:まだ元気で、いざとなったら退去もしやすい住まいを探している方
⑧ グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
認知症の診断を受けた方が、少人数(5〜9人程度)で共同生活を送る施設です。
家庭的な雰囲気の中で、料理や洗濯などの家事を一緒に行いながら生活します。認知症の方にとって、大規模な施設よりも落ち着いて過ごせることが多いです。
原則として、施設がある市区町村に住民票がある方が対象という「地域密着型」のルールがあります。
👉 こんな人向け:認知症があり、少人数の家庭的な環境で暮らしたい方
【一覧表】介護施設8種類の比較
ここまで紹介した8種類の施設を、一覧表で整理しました。
| 施設の種類 | 分類 | 対象 | 費用の目安(月額) | 待機期間 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 特養 | 公的 | 要介護3〜5 | 6〜15万円 | 数ヶ月〜数年 | 費用が安い・終身利用可 |
| 老健 | 公的 | 要介護1〜5 | 8〜15万円 | 比較的短い | リハビリ重視・在宅復帰が目標 |
| 介護医療院 | 公的 | 要介護1〜5 | 8〜15万円 | 施設による | 医療ケアが必要な方向け |
| ケアハウス | 公的 | 自立〜軽度 | 6〜12万円 | 施設による | 自立した方向け・費用安め |
| 介護付き有料 | 民間 | 自立〜要介護5 | 15〜35万円 | 短い〜なし | 24時間介護・手厚いケア |
| 住宅型有料 | 民間 | 自立〜要介護3程度 | 10〜25万円 | 短い〜なし | 外部サービス利用・自由度高め |
| サ高住 | 民間 | 自立〜軽度 | 10〜25万円 | 短い〜なし | 賃貸契約・退去しやすい |
| グループホーム | 民間 | 要支援2〜要介護5(認知症) | 12〜20万円 | 施設による | 少人数・認知症の方向け |
※費用はあくまで目安です。地域やお部屋のタイプ、介護度によって大きく変わります。必ず各施設に確認してください。
結局、どの施設がいいの? ──ケアマネとしての答え
20年この仕事をしてきて、はっきり言えることがあります。
「ここがベスト」という正解は、ご本人の状態とご家族の状況によって変わります。
だからこそ、まずは種類を知ること。そして、気になる施設は必ず見学すること。
パンフレットやホームページだけでは分からないことが、見学に行くと山ほど見えてきます。スタッフの表情、入居者さんの様子、食堂のにおい、廊下の雰囲気。
一度入居したら簡単にはお引越しできないからこそ、「自分の目で確かめる」ことが何よりも大切です。
次に読んでほしい記事
施設の全体像がつかめたら、次は「見学で何を見ればいいのか」を知っておくと安心です。
また、施設の種類についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
私自身、施設探しの相談を受けるたびに感じるのですが、施設選びは一度決めたら終わりではありません。ご本人の状態やご家族の状況によって、数年後に別の選択肢が必要になることもあります。
だからこそ、今の状態だけでなく「これから先」を見据えて施設を選ぶことが大切です。
「種類はわかったけど、うちの近くにはどんな施設があるんだろう?」と思った方は、地域名や条件から施設を検索できるサイトが便利です。
https://www.minnanokaigo.com/
全国の介護施設を費用・種類・地域から検索できます。気になる施設があれば、まずは資料請求から始めてみてください。






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