「特養に申し込んだんですけど、何年待ちですか?」
ケアマネとして、本当によく受ける質問です。
その気持ち、よくわかります。「特養は何年も待つ」と聞いて、不安になりますよね。
先に結論からお伝えします。私が担当した中では、多床室は3〜5年ほど待つことも珍しくありません。一方、ユニット型個室は1年弱、タイミングによってはすぐ入所できることもあります。
そのうえで、最初に知っておいてほしいことが2つあります。
特養は、申し込み順で入所が決まる施設ではありません。
そして、順番が来ても「まだ必要なければ」辞退や保留を相談できる場合があります。
この2つをお伝えすると、ほとんどのご家族が驚かれます。
ケアマネ歴20年の私が、特養の待機期間の実際と、早く入れる人・長く待つ人の違いを、現場の実感とあわせて解説します。
特養はどのくらい待つの?

待機期間は、地域や施設、そして「どの部屋タイプを希望するか」によって大きく変わります。
あくまで私が担当した中での実感ですが——
多床室(相部屋):3〜5年ほど待つことも珍しくありません
ユニット型個室:1年弱ほど。タイミングが合えば、申し込んですぐに入居できる場合もあります
「え、逆じゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
そうなんです。費用の安い多床室ほど希望者が集中して長く待ち、費用の高いユニット型個室のほうが早く入れる——これが現場の実情です。
実際、金銭的な理由で多床室を希望され、今も3年待ち続けている方を担当しています。「安い部屋を待つ」というのは、それだけ時間がかかる選択でもあるのです。
ちなみに、特養の費用については、老健との比較記事で詳しく解説しています。
💡 ケアマネのひとこと
私の地域(農家の多い地域)では、農繁期の夏は施設の空きが出にくい傾向があります。ショートステイは特にそうです。地域によってこうした事情は違うので、地元のケアマネに聞くのが一番確実です。
なぜ人によって待機期間が違うの?──申し込み順ではないから

冒頭でお伝えした通り、特養は申し込み順ではありません。
多くの施設では、入所判定を行う会議が定期的に開かれ、入所の必要性や緊急性が高い方から入所を検討します。
評価の基準は自治体や施設によって異なりますが、一般的には次のような点が考慮されます。
・要介護度や認知症の状態
・介護者の状況(老々介護、病気、仕事や育児との両立、支援者がいないなど)
・在宅生活の継続が難しいかどうか
・地域性(自治体や施設によって考慮される場合があります)
また、希望する部屋タイプ(多床室か個室か)や、申し込む施設数によっても実際の待機期間は変わります。
ただし、点数だけで機械的に決まるわけではありません。空いている部屋が男性用か女性用か、医療的なケアの受け入れ体制はあるか——そうした現場の事情で、順番が前後することもあります。
私の経験でも、「困っている度合いが高い人から」というのが現場の共通した感覚です。
早く入れた人・長く待っている人──現場のケース
個人が特定されない範囲で、印象に残っているケースをご紹介します。
比較的早く入所できたケース
入院治療を終えたものの、在宅に戻ることが難しくなった方がいました。退院後の行き先としてショートステイを探していたところ、介護度が高く入所の必要性・緊急性が認められ、そのまま特養へ入居となりました。
もうひとつ、忘れられないケースがあります。
自宅で介護をされていたご家族が病気になり、入院治療が必要になったのです。退院後もご自身の療養が優先で、介護を続けることは難しい——そう判断されたタイミングで優先入所を申し込んだところ、翌月には入居することができました。
ご本人も、介護者さんも、心からホッとされた表情を今でも覚えています。「介護者の状況」が優先度に大きく反映されることを実感した出来事でした。
長く待っているケース
一方で、金銭的な理由から多床室を希望されている方は、申し込みから3年たった今も待機が続いています。在宅サービスを組み合わせながら生活を続けていますが、「安い部屋」は本当に狭き門です。
このように、「いつ申し込んだか」よりも「今どれだけ必要か」と「どの部屋を希望するか」が、待機期間を左右します。
待っている間はどうする?
冒頭でお伝えした通り、特養は申し込み順ではありません。
多くの施設では、入所判定を行う会議が定期的に開かれ、入所の必要性や緊急性が高い方から入所を検討します。
評価の基準は自治体や施設によって異なりますが、一般的には次のような点が考慮されます。
・要介護度や認知症の状態
・介護者の状況(老々介護、病気、仕事や育児との両立、支援者がいないなど)
・在宅生活の継続が難しいかどうか
・地域性(自治体や施設によって考慮される場合があります)
また、希望する部屋タイプ(多床室か個室か)や、申し込む施設数によっても実際の待機期間は変わります。
ただし、点数だけで機械的に決まるわけではありません。空いている部屋が男性用か女性用か、医療的なケアの受け入れ体制はあるか——そうした現場の事情で、順番が前後することもあります。
私の経験でも、「困っている度合いが高い人から」というのが現場の共通した感覚です。
「入れるまで、家で頑張るしかないの?」——そんなことはありません。待機中に使える選択肢があります。
・老健(介護老人保健施設):リハビリや医療管理を受けながら、次の生活への橋渡しとして利用できます。ただし、長期入所を前提とした施設ではない点に注意してください。詳しくはこちらの記事で解説しています。
・ショートステイ:数日〜数週間の短期入所。介護者の休息(レスパイト)にも使えます。罪悪感を抱く方が多いのですが、堂々と使っていいサービスです。
・在宅サービスの組み合わせ:デイサービス、訪問介護、訪問看護などを組み合わせて、在宅生活を支える体制をつくります。
待機中の体制づくりこそ、ケアマネの腕の見せどころです。遠慮なく相談してください。
特養に早く入りたいなら、ケアマネとして伝えたい4つのこと

20年の現場で、私がご家族にお伝えしてきたことを4つにまとめます。
① 複数の施設に申し込むのは、失礼なことではありません
「他の施設にも申し込んでいるなんて、施設に悪い気がして…」とためらうご家族は多いです。
でも、施設側も、複数の施設に申し込んでいる方がいることは理解しています。むしろ1施設だけに絞るほうがリスクです。その施設の空きが出るまで、何年でも待つことになりかねません。
② 申し込みは「保険」。必要になってからでは間に合いません
私は、複数の施設へ「保険のような感覚」で早めに申し込んでおくことをおすすめしています。
特に、老々介護のご家庭や一人暮らしの方は、「いよいよ必要になった」ときに申し込んでも間に合わないことがあります。介護者が倒れてから慌てて探す——そんな場面を、私は何度も見てきました。
③ 順番が来ても、辞退や保留を相談できる場合があります
これをお伝えすると、大半のご家族が驚かれます。
「順番が来たら、入らなきゃいけないんじゃないの?」——いいえ。まだ在宅生活を続けられる状況であれば、今回の入所を辞退したり、保留の相談ができたりする施設もあります。
ただし、辞退後もそのまま同じ順位で待機できるとは限りません。再申込みや優先度の再評価になる場合もあるため、申し込み時に必ず確認しておきましょう。
だからこそ、「まだ早いかな」と思う段階での申し込みが、保険として機能するのです。
④ 状況が変わったら、必ず施設に伝えてください
申込書を出したら、あとは待つだけ——ではありません。
介護度が上がった、介護者が病気になった、仕事や家庭の事情が変わった。そうした変化を施設に伝えることで、優先度が見直され、順番が大きく動くことがあります。
先ほどご紹介した「翌月に入居できた方」も、介護者の病気という状況の変化がきちんと評価された結果でした。伝え方は施設によって違う(申込書の再提出、変更届など)ので、担当のケアマネを通じて連絡するのが確実です。
施設入所は「可哀想なこと」ではありません
最後に、一番お伝えしたいことを。
「施設へ入れるなんて、親に申し訳ない。」
そう涙を流されたご家族を、私は何人も見てきました。
でも私は、施設入所は決して「親を捨てること」だとは思いません。
必要な介護を受けながら、その人らしく安心して暮らせる場所を選ぶことも、大切な介護のひとつです。
特養は、「限界になってから探す施設」ではありません。
必要になってからでは、間に合わないこともあります。
「まだ早いかな」と思ったときこそ、ケアマネに相談してください。そこが一番、落ち着いて選択肢を考えられるタイミングです。
よくある質問
特養は申し込んだ順に入れますか?
いいえ。申し込み順ではなく、入所の必要性や緊急性をもとに優先度が判断されます。あとから申し込んだ方が先に入所することもあります。
複数の特養に申し込んでも大丈夫ですか?
大丈夫です。複数の施設へ申し込むことは珍しくありません。1施設に絞るより、複数へ申し込んでおくことをおすすめします。
順番が来たら、必ず入らないといけませんか?
必ず入所しなければならないわけではありません。まだ必要がなければ、辞退や保留を相談できる場合があります。ただし、その後の待機順位や再申込みの扱いは施設によって異なるため、事前に確認してください。
申し込んだあと、待つ以外にできることはありますか?
あります。介護度や介護者の状況に変化があったら、施設に伝えてください。優先度が見直され、順番が動くことがあります。担当のケアマネを通じて連絡するのが確実です。
要介護2でも特養に申し込めますか?
特養は原則要介護3以上が対象ですが、認知症などやむを得ない事情がある場合は「特例入所」が認められることがあります。ケアマネや施設にご相談ください。
次に読んでほしい記事
特養と老健の費用の違い、施設全体の種類を知りたい方はこちらもどうぞ。



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