前回の記事で、トイレの便器が真っ赤になった話を書いた。
あのとき確かに感じたのだ。体が何かを訴えている、と。
でも正直なところ、「まさかがん疑いになるとは」なんてこれっぽっちも思っていなかった。だから3ヶ月後の再受診日、私は「面倒くさいな」と思いながら家を出た。
断れない事情があった
受診先は、仕事でお付き合いのある先生のクリニック。
その先生は訪問診療もされていて、私の担当する利用者さんの往診をお願いすることが多い。今の時代、在宅を診てくれる訪問診療医は本当に貴重で、地域のケアマネとして絶対に大切にしなければならない関係だ。
つまり断れないやつだ。
健康のためというより、仕事の義理で行ったと言っても過言ではない。ケアマネあるある、である。
エコー異常なし。でも「念のため」が始まった
エコー検査の結果は異常なし。
「よし終わった!」と思ったのも束の間、先生からひと言。
「念のため、腎臓の造影検査もしておきましょう。大きな病院に紹介状を書きます」
……念のため、ね。
私は健康リテラシーには自信があるほうだ。タバコも吸わない。お酒も飲まない。52歳で低強度ながら運動も続けている。添加物はなるべく避け、野菜と米は無農薬、薬は極力飲まない主義。(ソースは特にない)
そんな私が「造影CT」と聞いてどう思ったか。
普通のCTでしょ?スーッと機械に入って、ハイ終わり。
なめていた。完全に。
検査室に入ったら、3人いた
某病院へ行き、まず受付を済ませると重々しい着替え室に通された。検査衣に着替えながら思った。

も〜、大げさすぎん?
そして案内された検査室には——
ばたばたと忙しそうに動き回る看護師さんが1人。
のんびりした雰囲気の検査技師さんが2人。
合計3人がかりで、私を待ち構えていた。

え、3人体制? 私のために?(全然嬉しくない)
「ルート取るので、点滴の針入れますね」とぶすっ。
そこから造影剤を少しずつ注入しながら、時間と量を細かく計測していく。すると——じわ〜んと、体が温かくなってきた。
顔、胸、お腹……全身がじんわり熱い。
思わず口から出てしまった。

「あ〜、本当だ〜、熱くなってきた〜!」
3人、完全スルー。
そりゃそうだ。毎日何十人も同じことを言う患者さんを見ているのだろう。でも恥ずかしかった。ひとり赤面しながら、静かに検査を終えた。
結果:異常なし。そして「言えないこと」がある
後日、クリニックに結果を聞きに行った。
「腎臓には異常ありませんでした」
よかった。本当によかった。
「では、また3ヶ月後に予約を」と言われながら、私は心の中でひとつのことを考えていた。
あの最初の血尿……もしかして生理だったんじゃないかな。

今更、絶対に言えない。
言えない。言えるわけがない。
仕事でお付き合いのある、大切な先生に向かって「実はあの出血、生理だったかもしれないです」なんて。
想像しただけで顔が熱くなった。造影剤のせいじゃなく。。。
実は半年前に、がん保険を解約していた
ここで、もうひとつ告白がある。
この騒動の半年前
私はがん保険を解約していた。
タバコも吸わない。お酒も飲まない。運動もしている。添加物を避けて、無農薬の食材を選んで、薬にも頼らない。

これだけやってる私が、がんになるわけない
そう思って、解約した。
今は、ものすごく後悔している。ものすごく。
健康に気をつけている人ほど「自分は大丈夫」と思いがちだ。
でもがんは、そんな自信を軽々と裏切る。元気なうちに、どうか一度保険を見直してほしい。

確定診断の前に保険に入っちゃおうかな
なんて一瞬、企んでみたけどダメだ。
検査中・治療中・経過観察中は保険に加入できない。告知義務違反になるから。元気なうちにしか、入れないのだ。
ちなみに、ここまでの検査費用を振り返ると
| 検査内容 | 費用 |
|---|---|
| 内視鏡検査 | 約5,000円 |
| エコー検査 | 約5,000円 |
| 造影CT | 約5,000円以上 |
| 合計 | 15,000円以上 |
合計でもう15,000円以上かかっている。1回だけじゃない、エコーや内視鏡はなんどもやる。
これはあくまで検査だけの話。治療が始まったら、いったいいくらになるんだろう。
健康に自信があって解約して、いざとなったら入れなくて
我ながら間が悪すぎる。
がん保険、解約する前に一度専門家に相談してみてほしい。私みたいに後悔してほしくないから。
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介護する側だって、倒れる
そしてもうひとつ、あとになって気づいたことがある。
私には認知症の母がいる。同居して、毎日介護している。
あのとき便器が真っ赤になったとき、直感で体のサインを感じた。でも「まさかがん疑いになるとは」なんて思っていなかったから、母のことは頭に1ミリもなかった。
もし本当にがんになったら介護はどうするんだろう。
介護する側だって、病気になる。当たり前のことなのに、自分のこととして考えていなかった。
ケアマネとして人の介護計画は立てても、自分のことは後回しにしていた。
これを読んでいる介護中のあなたも、どうか自分の体を後回しにしないでほしい。
体の悲鳴を、見て見ぬふりしないでほしい
あの日、便器が真っ赤に染まったとき正直、体が震えた。
「何かが起きている」と、理屈じゃなく感じた。
忙しいから、面倒だから、たぶん大丈夫だから。そう言い訳して後回しにしたくなる気持ちはわかる。私もそうだった。
でも体は、ちゃんとサインを出している。
いつもと違うな、と感じたときは、ぜひ病院へ。
次回:さらに3ヶ月後。「思いがけない結果」が出る。



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