「親が認知症と診断されたんです。やっぱり、グループホームですよね?」
ケアマネをしていると、本当によく聞かれる質問です。
先に私の答えをお伝えすると向いている人には、これ以上ない住まいです。でも、全員に向いているわけではありません。
この記事では、20年現場で見てきた「グループホームの本当に良いところ」と「入る前に知っておいてほしいこと」を、包み隠さずお話しします。
そして最後に、ケアマネの私が自分の母のために目星をつけているグループホームの話もします。
グループホームの基本だけ、先におさらい
- 正式名称は「認知症対応型共同生活介護」。認知症の診断がないと入居できません
- 1ユニット5〜9人の少人数で、家庭的な雰囲気の中で暮らす
- スタッフと一緒に料理や掃除など、できることを役割として続けられる
- 地域密着型サービス(ここが後で大事になります)
施設全体の比較はこちらの記事でどうぞ。
【良いところ1】「その人らしさ」を続けさせてくれる

グループホームの最大の魅力は、個別性です。本人が大切にしてきたこと、やりたいことを、暮らしの中で続けさせてくれる。
私の利用者さんの話をふたつ。
畑仕事がずっと好きだった方は、入居してからも畑仕事を続けさせてもらえました。
木の剪定が得意だった方は、なんと施設の木の剪定を全部任されていました。
「認知症だから、危ないから」と取り上げるのではなく、「この人の得意なこと」として暮らしに組み込む。これができるのが、少人数のグループホームの底力です。
ただし——これは施設の考え方でずいぶん違います。
同じグループホームという看板でも、個別性を大事にする施設と、そうでもない施設の差は正直大きい。だから必ず見学に行って、「本人の好きなことを続けられますか?」と具体的に確認してください。
見学で確認すべきポイントは、こちらにまとめています。
【良いところ2】家族が自由に来られる、泊まれる
私が良いと思った施設は、家族がいつでも自由に来られて、泊まることもできました。
「施設に入れたら終わり」ではなく、家族の関わりが続く。面会時間に縛られず、ふらっと寄れる。この距離感は、家庭的なグループホームならではです。(ここも施設によるので、見学時の確認ポイントです)
【知っておきたい1】看護師が常駐していません
ここからは、不安な点も正直に。
グループホームには、看護師が常駐していないことがほとんどです。近隣の訪問看護ステーションと協力体制をとっている施設が多いのですが、看護師が常にいる特養や介護付有料と比べると、医療面の安心感は一歩譲ります。
だから、ケアマネとして「この方はやめた方がいいかも」と感じるのは——
- 医療依存度が高い方(たんの吸引、経管栄養、頻繁な医療処置が必要など)
- 体調を崩しやすい方
認知症があっても身体は元気、という方にこそ向いている施設です。

【知っておきたい2】住んでいる市町村の施設にしか入れません
グループホームは地域密着型サービス。原則、住民票のある市町村の施設にしか入居できません。
「隣の市にすごく良いグループホームを見つけたのに、入れない」——これ、実際に起きます。
私の利用者さんには、どうしてもそこに入りたくて、その市に住む娘さんの住所地に住民票を移してまで入居した方もいました。それほど「ここで暮らしたい」と思える施設だったということです。
※住民票の異動には条件や注意点があるので、必ずケアマネや市町村に相談してください。
【知っておきたい3】費用は意外と高め。しかも「あの認定証」が使えない
費用のめやすです。
- 初期費用:0〜20万円
- 月額費用:約12〜25万円(家賃・食費・光熱費+介護保険の自己負担分)
立地や所得により変動するので、事前確認は必須です。
そしてここが盲点なのですが——グループホームでは「負担限度額認定証」が使えません。
特養なら所得に応じて食費・居住費が大きく軽減される制度ですが、グループホームは対象外。所得が少ない方ほど、特養との費用差が開きます。
特養との費用比較は、こちらの記事で詳しく書いています。
ケアマネの私が、母のために目星をつけているグループホームの話
最後に、少しだけ私の話を。
私は認知症の母・オハナさん(89歳)を自宅で介護しています。いまは在宅ですが、もしいつかオハナさんがグループホームに入るなら——実は、目星をつけている施設があります。
理由は4つ。
- おやつの差し入れが自由(オハナさんは甘いものが大好き)
- カラオケがある(歌が好き)
- お風呂を一番先に入らせてくれる(几帳面な人なので)
- そして、世話好きなスタッフさんがいる
気づいた方もいるかもしれません。最初の3つは「オハナさんの好き・こだわり」、最後の1つは「それを受け止めてくれる人がいるか」です。
施設選びって、結局この掛け算なんだと思います。本人の「好き」のリストと、それを面白がって受け止めてくれる人がいるか。設備の新しさでも、パンフレットの美しさでもなく。
では、「世話好きなスタッフがいるか」なんて、どうやって分かるのか?
私の場合は、仕事のお付き合い、担当する利用者さんが実際に入居した経験、そしてケアマネ同士の横のつながりの口コミです。つまり——担当するケアマネの力量と情報量で、得られる情報はずいぶん違うということ。

施設選びの前に、実は「ケアマネ選び」が大事なんです。
こちらも読んでみてください。
まとめ:グループホームが向いている人、慎重に考えたい人
向いている人
- 認知症の診断があり、身体は比較的元気な方
- 好きなこと・役割を続けたい方、家庭的な雰囲気が合う方
慎重に考えたい人
- 医療依存度が高い方、体調を崩しやすい方
- 費用を抑えたい方(負担限度額認定証が使えないため)
そして、住民票のある市町村の施設しか選べないこと、施設ごとの差が大きいことを忘れずに。
迷ったら、担当のケアマネジャーに「この地域で、個別性を大事にしてくれるグループホームはどこですか?」と聞いてみてください。地域の施設の”中身”を知っているのは、地域のケアマネです。







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