
もしかして、こんな朝を過ごしていませんか。
朝ごはんを食べさせて、薬を飲ませて、着替えを出して。あと少しで送迎の車が来る、というタイミングで。
「今日は行かない」
そう言われると、頭が真っ白になりますよね。こっちだって仕事がある。今日行ってもらえないと、予定が全部崩れる。
📌 この記事でわかること
- 朝「行かない」と言われたときに、まず確認すること
- 朝に使いやすい一言、避けたい一言
- 家族より職員さんの声かけが通じる理由
- 「行けば何とか過ごせている」は、本当に大丈夫なのか
- ケアマネで、介護する娘でもある私の朝の本音
ケアマネを20年やっていて、ご家族からこの相談は本当にたくさん受けてきました。そして私自身も、母・オハナさんと暮らしながら仕事をしている娘です。
うちのオハナさんも、以前は朝に私が「今日はデイサービスだよ」と伝えると、決まってこう返ってきました。
「今日は行かないよ、寝ていたい」
ケアマネとしては「行きたくない理由を大事にしましょう」と言える。でも娘としては「お願いだから今日は行って」と思う。この記事は、役に立つ対応と一緒に、その間で揺れている私の話も書いています。
デイサービスを嫌がる悩みは、時期によって違います
- まだ契約前で、何が嫌なのか分からない → デイサービスに行きたくない母|「わがまま」を条件に変えて見つけた居場所
- 嫌な理由が分かったら、どう誘う?どう選ぶ? → 「年寄りが行くところでしょ?」デイサービスを嫌がる母に私が伝えたこと
- 通い始めたけれど、朝になると「行かない」と言う → この記事で書いています
- 慣れていたのに、急に行きたがらなくなった → 認知症の母がデイサービスを嫌がる。「息苦しい」の裏にあった気持ち
- デイサービスがどうしても合わない → 近日公開
朝「行かない」と言われたら、まず確認すること
体調がいつもと違わないか
最初に見てほしいのは体調です。熱っぽい、食欲がない、どこか痛そう、いつもより眠そう、ぼんやりしている。
こういうときの「行かない」は、わがままではなく、体からのサインのことがあります。認知症がある方は、痛みやだるさをうまく言葉にできず、「行かない」としか言えないこともあります。
迷ったら、デイの職員さんに「今朝こういう様子です」と伝えて相談してください。
守れない約束はしない
よく聞く声かけに「お昼を食べたら帰ってこられるよ」があります。でも、実際に帰ってくるのが夕方なら、それは守れない約束です。
その場はしのげても、本人は「お昼に帰れるって言ったのに」という気持ちを持って帰ってきます。それが次の「行かない」につながることもあります。
伝えるなら、本当の時間で。
- 「4時には車で送ってもらえるよ」
- 「帰ってきたら、いつものお茶にしようね」
帰る時間と、帰ってきてからの楽しみ。これがはっきりしているだけで、不安が少し小さくなる人は多いです。
朝に使いやすい一言、避けたい一言
朝はとにかく時間がありません。その場でうまい言葉を考えるのは無理なので、使う一言を前もって決めておくと楽です。
使いやすい一言
- 行きたくないんだね(まず受け止める)
- この服かわいいね(気分を上げる)
- 迎えの人が来たら、玄関まで一緒に行こうか(最初の一歩を小さく)
- 帰ってきたら、いつものお茶にしようね(帰ってきた後の安心)
- 帰ってきたら食べられるように、どらやき置いておくね(わが家で一番笑顔になる一言)
反対に、言いたくなるけど逆効果になりやすいのはこのあたりです。
- 「行かないと困るよ」
- 「みんな待ってるよ」
- 「契約したんだから」
- 「何回言えばわかるの」
どれも家族の本音ですよね。私も言ってしまう側です。
家族より職員さんのほうが通じる

ケアマネとしてたくさんの家庭を見てきて、そしてオハナさんを見ていても思うことがあります。
家族がどれだけ声をかけても動かなかったのに、送迎の職員さんが「おはようございます、お待ちしてましたよ」と玄関に来たら、すっと立ち上がる。こういうことは珍しくありません。
家族の「行って」は、本人には「行かされる」に聞こえやすい。職員さんの「待ってましたよ」は、「迎えに来てもらえた」に聞こえる。オハナさんも外面がいいので(笑)、迎えが来ると行きます。
朝に渋ることが多いなら、事業所に正直に伝えてください。
- 「家族が言うと余計に嫌がるので、玄関まで声をかけに来てもらえますか」
- 「今朝は渋っていました。着いてからの様子を教えてください」
職員さんは朝の拒否に慣れています。家族だけで玄関まで連れ出そうとしなくて大丈夫です。
わが家の朝|デイの日だと言わずに、私は仕事に出る
ここからは、ケアマネとしてではなく、娘としての話です。
以前は、朝になると私から「今日はデイサービスだよ」と伝えていました。返ってくるのは、決まって「今日は行かないよ、寝ていたい」。
それでも、時々デイの日だと伝えるときは、こう言っていました。
「帰ってきたら食べられるように、どらやき置いておくね」

すると、オハナさんはいい笑顔になります。帰ってきてからの楽しみがあると、少し気持ちが軽くなるようでした。
でも最近は、本当に嫌がるようになって、どらやきの話もできなくなりました。今は、デイの日だと伝えること自体をやめています。
「薬だよ〜」と薬を飲んでもらい、水玉の服を出して「この服かわいいね」「私とおそろいだね」と気分を上げる。朝ごはんを食べてもらったら、私は仕事に出かけます。
オハナさんは、その日がデイの日だと分かっていません。そこへ突然、送迎の職員さんが迎えに来る。外面がいいので(笑)、職員さんの顔を見ると、そのままデイサービスへ行きます。
でも、考えてみれば、オハナさんには「今日は行きたくない」と言う機会さえありません。私が、その機会をなくしてしまっているんです。
デイサービスの拒否について調べると、よく「やってはいけないNG対応」が出てきます。
よく言われるNG対応
- 無理やり連れていく
- 嘘をつく
- 否定する
- 子ども扱いする
私は無理やり連れて行っているわけでも、嘘をついているわけでもありません。
でも、あえて教えない、伝えない。それは本当に、母の気持ちを大切にした対応と言えるのだろうか。本当は、心苦しいです。
だって、伝えれば「行きたくない」と言うことが分かっているから、伝えていない。それは、オハナさんの「行きたくない」という気持ちを、最初から聞かないようにしているのと同じです。
それでも、
オハナさんの尊厳を守れているとは思えない。
ケアマネとして、そこから目をそらすことはできません。
これがいい方法だとは思っていません。正直に言えば、そうせざるを得なくなっている、というのが本当のところです。
家でお風呂に入るのが難しくなったオハナさんにとって、デイのお風呂は欠かせません。私には仕事があって、毎朝の拒否に向き合う余裕もなくなっていました。家で全部を引き受けることもできない。
ケアマネとしては、本人の気持ちを大切にしたい。でも娘としては、今日もデイサービスへ行ってほしい。その間で、今も揺れています。
「行ってしまえば何とか過ごしている」は大丈夫なのか
オハナさんは、行ってしまえば何とか過ごしています。
行ってしまえば、何とか過ごしている。
でも、それでいいのかな。
「何とか過ごしている」と、「楽しく通えている」は違うんです。
朝だけ嫌がって、帰ってきたら楽しそうに話してくれるなら、朝の気分や、出かけること自体の負担が関係している場合もあります。ただ、それだけでデイサービスが合っているとは言い切れません。帰ってきても表情が沈んでいる、疲れきっている、ならなおさらです。
以前、訪問看護師さんにこう言われたことがあります。
「認知症でも、嫌なことを感じたら、ちゃんと反応できるからね」
オハナさんの「行きたくない」が始まったのは、デイサービスで職員さんに強い口調で注意されたことがきっかけでした。そのときの話は、こちらに書いています。
本人が言葉で説明できないからといって、何もないとは限りません。それを一番知っているはずの私が、娘としては「行ってくれたから、今日も一日回った」とほっとしている。

こんな様子があれば、ケアマネに相談を
- 帰ってきても表情が沈んでいる、ぐったりしている
- 特定の曜日だけ嫌がる(入浴の日、利用者さんの顔ぶれ)
- 「あの人が嫌」「うるさい」など具体的な言葉がある
- 慣れていたのに、急に嫌がるようになった
- 「理由はわからないけど、とにかく嫌がる」
曜日の変更、利用時間の調整、事業所の変更。ケアマネと一緒に考えられることはたくさんあります。
私のように、仕事やお風呂のことがあって、デイサービスを休ませるのが難しい家庭もあると思います。それでも、「行けたから大丈夫」とは限りません。
休ませられない家庭でも、できること
- 帰ってきたときの表情や疲れ具合を見る
- デイの職員さんに、着いてからの様子を聞く
- 気になることがあれば、ケアマネに具体的に伝える
- お風呂など、必要な支援は途切れさせないまま、曜日や事業所の見直しを相談する
わが家は今、デイサービスの変更を考えています。
今のデイサービスでは、職員さんの認知症への理解や対応に疑問を感じることがあり、オハナさんにとって安心して通える場所ではなくなってしまいました。お風呂のことは途切れさせないように、でも、オハナさんが「何とか」ではなく安心して過ごせる場所を選び直したいと思っています。
どらやきの話で、また笑顔になってくれる朝が戻ってきたらいいなと思っています。
デイサービスは、本人を無理に合わせる場所ではなく、本人に合う場所を探していくもの。ケアマネとしても、娘としても、今はそう思っています。
そもそもデイサービスという形が合わない人のための選択肢は、別の記事で書く予定です。
まとめ|朝に頑張りすぎなくていい。でも、帰ってきた顔は見てほしい
デイサービスの朝の「行かない」に、毎回うまく対応できる家族はいません。ケアマネの私でも、娘としては理想どおりにはできていません。
朝にできること
- 体調がいつもと違わないか見る
- 守れない約束はしない
- 使う一言を1つ決めておく
- 職員さんの力を借りる
朝だけで、家族が全部頑張らなくていい。玄関から先は、職員さんにバトンを渡していい。
そのかわり、帰ってきたときの顔は見てあげてください。「行けた」だけで安心しないで、「どんな顔で帰ってきたか」まで見ること。それが、本人に合った場所を探す最初の一歩になります。
私も、まだその途中にいます。
💬 あなたの家はどうですか?
デイの日の朝、親御さんはどんな様子ですか? 「うちもこうしてる」「こうしたら変わった」という話があったら、コメントで教えてください。



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