
📌 この記事でわかること
- 「デイが合わない」のサイン
- デイに行けなくなったら、まず何をするか
- 目的別に、デイの代わりになる方法
- 日中ひとりにできないときの考え方
- 宅老所で見た、デイを嫌がる人への関わり方
デイサービスを嫌がる親について、これまで2本の記事を書いてきました。
契約の前に「年寄りが行くところでしょ?」と嫌がる場合と、デイの日の朝に「今日は行かない」と言われる場合です。
この記事は、何度誘っても行ってくれなくて、疲れてしまったご家族に向けて書きます。
「デイが合わない」のサイン

「最初は嫌がっても、通ううちに慣れる」ということは実際によくあります。だから、少し嫌がるくらいで諦める必要はありません。
ただ、こんな様子が続くときは、一度立ち止まって考えてみてください。
✅ こんな様子が続いていませんか?
- 行く日の朝になると、体の不調を訴える
- 帰ってくると、ぐったりして機嫌が悪い
- 何か月たっても「行きたくない」が変わらない
- デイのことで、親子の言い合いが増えた
- デイを変えても、同じことのくり返し
体の痛みや息苦しさ、だるさは、デイが嫌だからとは限りません。本当に体調が悪いこともあります。まずは主治医や訪問看護師、デイの看護師さんに相談して、体のほうに原因がないか確かめてください。
嫌がる親に「行って」「行かなきゃだめでしょ」と何度も言い続けると、家族の関係そのものが壊れてしまうことがあります。
言われる側は、だんだん「私を厄介払いしようとしている」という気持ちになっていきます。そうなると、ますます意固地になって、ますます行かなくなる。ケアマネとして、そんな方を何人も見てきました。
言う側の家族も、つらいですよね。何度言っても聞いてくれない。そのたびに、心がすり減っていきます。
デイに行かせることが、親にとっても家族にとっても毎回の苦しみになっているなら、それは本人のわがままではなく、デイという方法が合っていないのかもしれません。
自分だったら、そのデイに行きたいですか?
ご家族だって、行ってほしい理由があることは十分わかっています。
そのうえで、少しだけ本人の立場に立ってみてください。
自分が年を取ったとき、そのデイに行きたいと思うだろうか?
正直、塗り絵や間違い探しばかりだったら、私は行きたくありません(笑)。
もちろん、それが楽しい人もいます。でも私は、野球の話ができたり、好きなことをして過ごせたりする場所がいい。
デイサービスに行きたくないことと、介護サービスを受けたくないことは別です。
デイには行きたくなくても、お風呂には入りたい。自分の家で暮らしたい。
だったら、別の方法を考えてもいいんじゃないでしょうか。
デイに行けなくなったら、まず何をする?

ここで大事なのは、デイに行くことは諦めても、解決したかった課題は諦めないということです。
デイで何を解決したかったのかを書き出す
デイが合わないとき、私がケアマネとして最初にやるのはこれです。
「そもそも、なぜデイに行ってほしかったのか」を、ご家族と一緒に書き出します。
たとえば、こんな理由が多いです。
- 家でお風呂に入れなくなった
- 日中ひとりにしておくのが心配
- 家族が仕事に行く間、見ていてほしい
- 家族が少し休みたい
- 体力や足腰が落ちないようにしたい
- 人と話す機会をつくりたい
- 昼ごはんをちゃんと食べてほしい
デイは、これを全部まとめて叶えてくれる便利な場所です。
でも裏を返せば、目的がはっきりすれば、デイ以外にも方法はあるということ。
オハナさんの場合、いちばんの目的はお風呂でした。家のお風呂がまたげなくなって、髪も洗えなくなったのが始まりです。もしオハナさんがどうしてもデイに行けなくなったら、私はまず「お風呂をどうするか」から考えると思います。
ケアマネに「デイにこだわらなくていい」と伝える
デイを勧めている時点で、担当のケアマネとはもう何度も相談していると思います。
ただ、「どうしたら行ってくれますか」という相談のままだと、話はどうしても「別のデイを探しましょう」「曜日を変えてみましょう」になりがちです。
もう十分試したなら、一度はっきり伝えてみてください。
「デイにこだわらず、ほかの方法で生活を組み立て直したい」
この一言で、ケアマネが考える方向が変わります。
あわせて、次の3つを伝えてもらえると、代わりの方法をぐっと考えやすくなります。
✅ ケアマネに伝えてほしいこと
- 何がいちばん困っているか(お風呂、食事、見守り、家族の休息など)
- 家族が家にいない時間(曜日や時間帯)
- 本人が自分でできること、できないこと
「せっかく調整してもらったのに、申し訳ない」と思う必要はありません。合わなかったら組み直すのも、ケアマネの仕事です。
目的別|デイの代わりになる方法
使えるサービスや費用は、介護度やお住まいの地域によって違います。実際に使うときは、担当のケアマネか地域包括支援センターに相談してください。
お風呂に入れない
- 訪問入浴:浴槽を家に持ち込んで、専門のスタッフが入浴させてくれる
- 訪問介護(ヘルパー)の入浴介助:家のお風呂で手伝ってもらう
- 訪問看護:体調の管理が必要な方の入浴を看護師が手伝う
食事
- 配食サービス(安否確認を兼ねているところも多い)
- 訪問介護での調理や、食事の介助
体力・足腰
- 訪問リハビリで、家の中で動けるように練習する
- 訪問看護もリハビリをおこなっている。
ヘルパーさんにお願いできること
- 食事や排せつの介助、服薬の声かけなど、必要に応じた手伝い
- ヘルパーさんが来る時間は、日中の様子を知る機会にもなる
介護保険のヘルパーは、留守番や見守りだけを目的に頼むことはできません。必要な介護や家事の手伝いと組み合わせて使います。また、同居の家族がいる場合の調理や掃除などの家事の手伝いには、利用の条件があります。家族の病気や障害、その他やむを得ない事情などをふまえて個別に判断されます。
全部をひとつで解決しなくても大丈夫です。
お風呂は訪問入浴、休みたいときはショートステイと、組み合わせて暮らしが回れば、それで十分です。
日中ひとりにできないときは
ただ、訪問サービスは、来てくれる時間が限られています。ヘルパーさんが帰ったあとの長い時間を、訪問サービスだけで埋めるのは難しいのが現実です。
親が日中ひとりでも安全に過ごせるなら、訪問サービスの組み合わせで何とかなることもあります。
でも、認知症が進んで、こんな心配があるときは話が変わります。
✅ ひとりにするのが心配なサイン
- 火の消し忘れがある
- 家の中で転ぶことが増えた
- ひとりで外に出て、帰れなくなることがある
- 食事や薬を、ひとりでは管理できない
見守りカメラも、安心材料のひとつになります。
私も母の様子を見るために、居間と寝室にカメラを置いています。仕事中でも様子がわかるので、気持ちがずいぶん違います。転んだときなど、異変に早く気づけるのも強みです。
ただし、カメラは異変に気づくための道具です。何かあったときに誰が対応するかも決めておく必要があります。
そのうえで、「今までのデイとは違う通い先」を考えます。
たとえば、こんな場所があります。
- 少人数で家庭的な雰囲気のデイサービス
- 認知症対応型デイ(認知症の方を対象にした、少人数のデイ)
- 宅老所
- 小規模多機能型居宅介護
「デイが嫌」だった人でも、場所や人が変われば過ごせることは実際にあります。
それでも家族が限界なら、ショートステイを増やしたり、介護保険外のサービスを使ったり、施設への入所も含めて考えてください。
家族だけで抱え込まないことも、親の暮らしを守ることです。
宅老所で見た、デイを嫌がる人への関わり方
宅老所は、民家などを使った少人数の通いの場です。
法律で決まったサービス名ではないので、介護保険のデイとして運営しているところもあれば、保険外のところもあり、使い方や費用は場所によって違います。
私も実際に、ある宅老所を見学したことがあります。
築50年くらいの古民家で、中に入ると、親戚の家に遊びに来たようななじみやすい雰囲気でした。
利用者さんは9人くらい。テレビを見ている人もいれば、台所でお料理を手伝っている人もいて、みんな思い思いに過ごしていました。
途中で、スタッフさんと一緒に「ただいま」と帰ってきた人たちもいました。聞けば、「公園の桜が見たい」と言い出した方がいて、みんなで見に行ってきたところだったそうです。

スタッフさんは、まるで孫や子どもがおじいちゃんやおばあちゃんと話すように接していました。利用者さんのほとんどが認知症だと聞きましたが、私の目には、普通の奥さんや旦那さんが、ごく普通に一日を過ごしているようにしか見えませんでした。
通う前から、関わりは始まっている
経営者さんの話で、心に残ったことがあります。
ここに来るのは、ほかのデイサービスを断られた人や、「デイなんか行かない」と頑固に言い続けてきた人がほとんどだそうです。
だから依頼が来ても、すぐに通ってもらうのではなく、まずスタッフが家に通う。何度も顔を合わせて、「あんたのところなら行ってみようかな」と思ってもらえるまで関係をつくってから、通いにつなげているとのことでした。
「依頼が来たときから、関わりは始まっている」と話していました。
その人が大切にしてきた価値観や、生きてきた中で大事にしてきたことをじっくり聞いて、それをできる限り大切にしている。だから、認知症があっても、その人らしく過ごせているのだと感じました。
経営者さんは、ここを「富山型デイサービス」だと話していました。富山型は一般に、民家を使って、お年寄りだけでなく子どもや障害のある人も一緒に受け入れる取り組みとして、富山県から広がったものです。ただ、運営の形や使える制度は事業所によって違うので、気になる方は直接問い合わせてみてください。
そして、いちばん忘れられないのがこの言葉です。
誰にでも不安はつきもの。
不安だからどこにも行けないし、行きたくなくなる。
でもここでは、安心して不安になれるように関わっている。
「安心して不安になれる」。
デイを嫌がる人に必要なのは、楽しいレクや立派な設備より先に、こういう場所なのかもしれません。
宅老所という名前でなくても、少人数で家庭的に過ごせるデイサービスはあります。あなたの地域にも、こういう場所があるかもしれません。
小規模多機能という選択肢
小規模多機能型居宅介護(小多機)は、「通い」「訪問」「泊まり」を同じ事業所で使えるサービスです。
顔なじみのスタッフが、通いのときも家に来るときも対応してくれるので、知らない人が苦手な方には安心です。
本人の状態や事業所の体制に合わせて、通い・訪問・泊まりを組み合わせられるのも特徴です。
ただし、ケアマネが小多機の事業所のケアマネに変わるなど、知っておきたい点もあります。事業所によってもかなり違うので、詳しくはこちらに書きました。
おわりに|デイに行かなくても、別の道はある
親のために、自分たちの生活のために、一生懸命考えて選んだデイサービス。
それなのに「行かない」と言われると、がっかりしたり、腹が立ったりすることもありますよね。
でも、デイに行くことが目的ではありません。
お風呂に入ること。安心して日中を過ごせること。そして、家族も無理なく暮らせること。
解決しなければならない課題は残っていますが、方法はひとつではありません。
デイに行くことは諦めても、安心して暮らすことまで諦めなくていい。
「どうして行ってくれないの?」と悩み続けるより、「じゃあ、ほかの方法を考えてみようか」と思えたら。
親も家族も、少し穏やかな気持ちで過ごせるかもしれません。







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